思いやり-162008年03月12日 07時04分26秒

 「使い辛くて、精度が出ない」という機械が工場の隅に眠る?。
 ローター研磨機の話です。昔の機械ですから、仕方ないのでしょう。
 「精度が悪くて、誰も使わない」と整備工場の社長さんは言われます。3社連続して同じ事を言われました。確立を考えると有意差有り?でしょうか。

 昨日、デモで伺った整備工場の社長さんは始めから、「精度は」と言われ、兎に角、ローター研磨機に詳しい方でした。
 私の機械の精度を見て頂いたところ、荒削りの段階で、「仕上り綺麗じゃない、精度もOK」と、言って頂いたのですが、荒削りですから、30ミクロンほど、すり鉢状になっていました。
 仕上げ加工をすれば良かったのですが、30ミクロンのすり鉢状態は許容範囲内です。
 社長さんはローターを触って、「多少凹凸があるね」と言われました。
 「凄い、30ミクロンが判る」
 「これは荒削りです」と簡潔に言えば良かったのですが、理屈へ言葉が行ってしまいました。
 「まずい、これを言うのは」と考え、途中で言葉を止めてしまいました。
 いかにデモでも、他の方が一生懸命設計され、作られた製品の弱点をいう事は私には出来ません。
 しかし、その社長さんは全てを見越したように、こう言われました。
 「あんたは技術者だから簡単にやるが、内の連中にできるかね」
 精度を出す為には、ボタンを切り替える操作が一回だけ増えるのです。これが私の機械の欠点かもしれません。
 だからと言って、折角頂いた貴重な時間を無駄に出来ませんから、
 「自動車の整備よりは遥かに簡単でしょう」と答えました。
 「そりゃそうだ」と社長さんはニヤリ。

 「メンドクサイ」と言う言葉を
 「あんたは技術者だから簡単にやるが、内の連中にできるかね」と置き換えてくれた社長さんの「思いやり」を感じました。

 帰り道、この社長さんの言葉が頭から離れ無かったのは当然です。

 こういう、社長さんがまだまだたくさん居るから「自動車の安全が保たれている」と確信しました。

 実は、今朝まで、他の事と、この事で頭の中がごちゃごちゃでしたが、
 Tecchanの、新『雑』ずいひつ
 というブログにかいた、コメントの返事をTecchanから貰い、頭の中が整理されました。

 ものの「見方、言い方」一つで、答えが変わると、今更ながら・・・・」
 勉強になりました。
 今日の朝日はやたら眩しいです。(^ム^)