可変ピッチプロペラ2008年07月01日 06時57分22秒

ヘリコプターの目的は人命救助、戦争中もそうだったのに
「ゼロ戦」の事を書き始めたが、勘違いしないで欲しい事が一つ有る。

「決して、戦争を美化するわけでは無い事」だ。

私は戦争どころか、ラルゴ君の前に鳩が居ればラルゴ君を止めるタイプの人間で有る事を知っていて欲しい。

ゼロ戦には、可変ピッチプロペラというプロペラが付いていた。

プロペラは回転数の3乗に比例して負荷がかかる。船のスクリューも同じ。

負荷とは、出力馬力の事で、極端な例だが、500回転で回っていたプロペラを1000回転にしようとする。回転数は2倍だが、エンジンは8倍の馬力を出さなければならない。

こんなに負荷が変わったら、加速、減速の応答性が悪くなる。

このままだと、加速、減速、宙返り、方向転換と速度の変わる空中戦では不利だから、パイロット達は何とかし欲しいと言った様だ。

相反する事だが、飛行機にはエンジンの回転数以外にも速度を変える方法が有る。

自動車のような、変速機は無いから、プロペラピッチ(プロペラの角度)を変えるのだ。

良い例ではないが、ボルトのねじ山を想像してもらえれば良いだろう。

そこで、回転数が一定でも、速度が変えられる可変ピッチプロペラを採用した。

可変ピッチという構造は既に在ったが、同じ時期に開発された「隼」には付いていない。

海軍と陸軍のパイロットの考えた方の違いが大きいようだが他にも理由は有った。

この可変ピッチプロペラという考えは、現在ではなくてはならないものになった。

ヘリコプターの頭についている大きなローター(回転翼)は1回転毎にピッチが変わる。

変わらないと、前に進めない。

星型エンジン2008年07月02日 05時03分18秒

「飛燕」 日、米、英、独の各国に良く似た戦闘機が有る
「ゼロ戦」を始め、日本軍のエンジンは空冷が多い。

「星型」と言って、放射状にシリンダーを配置する。始めの頃は14気筒で980馬力。回転数は1500~2000rpmだったと思う。

プロペラは回転数の3乗に比例して馬力を必要とするので「トルクで稼ぐ」も有るが、プロペラの周速が音速に近かづくと、効率が一気に落ちる。

この理由で、回転数が上げられない。空力の関係なので、インターネット見て欲しい。

話がそれたが、980馬力が大きいか小さいか。

ちょっと酷な比較だが、ジャンボジェットのエンジンは1台で10万馬力。ジャンボ全体で40万馬力。ゼロ戦の400倍となる。

乗員も400:1か、偶然だろうか。

ついでに、水冷?エンジンの戦闘機の代表は私の好きな「飛燕」。

「水冷?」だと、星型ではなく、直列(自動車と同じ)となる。

「水冷?」の方が機体前面を細くできるから、空力特性が良くなりスピードが出る。

「水冷?」は馬力も大きく出来るが、理論熱効率は空冷の方が上。

「水冷?」と書いたのは、本当は水冷では無い。「油冷」である。

高空では、水の沸点が下がり、「水冷」は無理。

空を飛ぶ事自体が大変なのに、空中戦までする。

だから「矛盾」の連続となる。

プロペラと機関銃2008年07月03日 04時05分31秒

桜に3枚プロペラは良く似合います?
「ゼロ戦」も「隼」もプロペラの後に機関銃が有る。

回転しているプロペラの「隙間」を通過して、機関銃の弾が出る。

第一次世界大戦の頃から在ったから、新しい技術ではない。

機首(操縦席の前)に機関銃を置くと、弾を撃った時の振動の影響が少ないので、弾の命中精度が高い。

機構は書かない。

只、ゼロ戦と隼には大きな違いが有る。プロペラの数だ。

ゼロ戦は3枚、隼は2枚。3枚の方が機関銃の弾がプロペラに当たる確率が高い。

だが、撃った弾がプロペラに当ったという話は聞いた事が無い。

プロペラの数が4枚になると、撃った弾が、プロペラに当りだすそうだ。

3枚プロペラ越しの弾の発射は曲芸に近かったのだろう。

一方、プロペラの数は多い方が飛行機のスピードが出るから、飛行機の「性能が良い」となる。

設計者であれば、3枚のプロペラより4枚にしたかったと思う。

これも、パイロットが弾の命中精度に拘った為の、矛盾だ。

パイロットは「武士道精神」が強いと、設計者の堀越さんが書かれていたのを思い出した。

パイロットを包装機のオペレーターと考えると、私も堀越さんと同じ立場になる。

「矛盾」の喜びと、苦しさを十分頂いている。

只、「包装機は人を殺さない」。

この事を感謝している

飛行機のエンジン2008年07月04日 05時16分48秒

ラルゴ君のエンジンは16バルブ、凄い事なんです!
ゼロ戦の事を書いていたが、話が武器になり、嫌になったので一休み。

飛行機のエンジンの特徴は「軽い」事である。

40年以上前の事だが、エンジンを軽くする為に、社運を賭けた大メーカーも在った。

それくらい「軽い」事が重要なのだ。

ところが、第二次世界大戦直前は「重い?」ディーゼルエンジンを搭載した爆撃機も有ったようだ。

最近になって知って驚いた。

しかし、よく考えて見ると理解できる。

「重い」「軽い」は1馬力あたりのエンジン重量であって、ガソリンエンジンと比較して重いディーゼルエンジンでも、馬力が出るなら、馬力を抑えて、小型、軽量化すれば1馬力あたりのエンジン重量は変わらない事になり、飛行機用として十分使える。

まして、プロペラでエンジンの最高回転は決められてしまう。

エンジン回転数だけを考えたら、低回転高出力のディーゼルエンジンの方がプロペラ飛行機に向いている。

最近、ディーゼルエンジンが見直しされている。

高速型ディーゼルエンジンが可能になったためだろう。

見方を変え、新技術を加えると、別物ができる。

その為には、真実を知る必要が有る。

ゼロ戦の装甲2008年07月05日 01時22分46秒

親父の写真集、ゼロ戦登場まで後2年
空中戦の場合、攻撃する側は大抵相手の後ろに回る。

機関銃弾は鉄の塊でしかないから、数発当っても機体に穴があく程度で、エンジンや操縦装置に当っても、致命傷にはならないし、その確率は低い。脱出する時間も有るし、エンジンが止まっても滑空や不時着出来る場合が多い。

ところが、パイロットに当ると死傷し墜落となるので、座席の後にパイロットを守るための装甲板をつける。

しかし、ゼロ戦のパイロットはその装甲板を嫌がったそうだ。

「装甲板は重たいから、機体重量が増え、操縦性が悪くなる」というのがその理由だったと、堀越さんは著書に書かれている。

堀越さんはかなり悩まれ、「格好だけ」の軽い装甲板にしたようだ。

戦闘機だろうと、自動車や産業機械だろうと、操縦者が怪我をするなんていうのは、設計者の「恥」である。これは時代が変わっても同じだ。

実は、この事は、戦争の勝ち負けを左右した一因でも有った。

パイロットの養成には時間も金もかかる。まして、経験豊富なパイロットは時間だけが養成できる。

現在の「物作り」も同じで、経験に勝る知識は無い。

話がそれたが、装甲板が薄いので、パイロットの死傷率が高くなる。その為、熟練したパイロットはどんどん戦場から離れ、新人パイロットの補充では追いつかなくなる。

機体も修理で済む筈が、帰還できずに全壊となり、「不足」となる。

時間と共に、「腕の良いパイロット」は居なくなり、おまけに数でも負けるから、飛行機の性能の差が意味を持たなくなった。

「腕の差、数の差」で戦う度に負ける事になる。

空中戦で負けると「制空圏」が無くなり、地上戦も、海上戦も負けるようになる。

最後は「特攻」などという「バカ」な考えを持ち出した。

「特攻」を持ち出した人間が「愛国心」? ふざけるな! である。

「産業の空洞化」が似て見えるのは私だけだろうか。